ニッケイのこと。About the meaning of Nikkei in Brazil
みなさんこんにちは。
今回は、私の赴任先の学校についてご紹介しましょう。
私の赴任先の正式名称は「ロンドニア州日伯文化協会日本語教室」といいます。
しかしこの組織が正式に協会になったのは2014年のことで、それまでは1994年の設立以来、20年にわたって「ポルトヴェーリョ日系クラブ」という名前でした。
なので、この教室のことを正式名称で呼ぶ人は誰もおらず、今も皆、愛着を持って使い慣れた「ニッケイ」と呼んでいます。
授業があるのは週に5日。生徒は普段仕事を持つ成人も多いことから、中でも土日が授業の中心になります。したがって週末はいつも朝から晩まで賑やか。対して平日は、個人レッスンや子供クラス、現地教師への授業などが主になります。
生徒数は約100名。なぜ「約」としか答えられないかというと、2月に新クラスが開講したばかりでまだ新入生が流動的であるということと、日本語の他に誰でも参加可能ないくつかのクラブ活動(後述)も活発に行われており、常に新しい人が(月謝も払わず)出たり入ったりするため、正確に何人いるのか数えられないというのが実情だからです。その辺は、良く言えば寛容、悪く言えば適当。でもこの学校のそういうところが居心地良くて個人的には気に入っています。
カウンターパートには、私のような日本からの教師に対して、「せっかく日本から来てるので、日本語の授業以外にも日本文化に関連することで何かしらこの学校に残して帰ってほしい」という希望があるようで、私の前任者は太鼓クラブを設立しました。私は自分の趣味を活かして昨年、合気道のクラブを立ち上げました。同じく昨年、グローブやバットなど野球の道具が中古で大量に手に入ったので、経験者を監督に招き野球クラブも発足。誰でも自由参加なので、生徒のみならず、FacebookやWhatsAppや口コミで噂を聞きつけいろいろな人が集まってきます。
この学校の生徒で、日系人の割合は2割程度。残りの8割は日本に興味を持つ非日系のブラジル人です。そして実際に日本に行ったことのある生徒は、(現地教師を含めても)ほとんどいません。ここポルトヴェーリョはブラジル北部、アマゾン奥地の地方都市ですから、まず玄関口であるサンパウロへ出るにも飛行機を乗り継がなければならず、そこからさらに日本となると、気の遠くなるような距離なのです。なので、今ここで日本語を学んでいる約100名の生徒の皆が皆、将来日本に行く機会を持つということは現実的には難しいでしょう。
にもかかわらず、そんな遠く離れた、縁もゆかりもない日本に興味を持ってわざわざ学校に来てくれる生徒たちに対して自分ができることといえば、日本語だけではなく、日本の文化や、風習や、映画や、時事ネタなどを通して、日本をもっと身近に感じてもらうことだと思い、極力授業に取り入れるよう心掛けています。
いつかその中の一人とでも、もし日本で再会し、日本語で語り合うことができたら最高だろうなと、今からその日を楽しみにしているのです。