サンフアン学園:教室の掲示と日本地図 San Juan School, Bolivia: Educational materials in the classroom and map of Japan
ボリビアのSaririです。今回は、教室の掲示物について紹介します。
もちろん、各クラスで担任の先生によって掲示している物の種類と量は違いますが、日本の小学校と比べて、掲示物はかなり多いと思います。その掲示物のほとんどは、先生の手作りの物で、生徒の作品の掲示はあまり見られません。(生徒の作品は、学期末の展示会や保護者懇談会の際にその会場に展示しています)
各学年の教室を見ていると、時間割、掃除当番表、宿題チェック表は必ずありますが、その他は少しずつ違います。小学1年生から3年生までは、掲示物が大変多いです。白板の上には、基本的な挨拶、周りには、足し算の表、数字のスペイン語での言い方、ケチュア語(先住民言語)で数字の言い方や動物の名前、習ったばかりの国語の内容をまとめたものなどが掲示されています。(小学1年生から、国語(スペイン語)・英語・ケチュア語・日本語(日系人のみ)を勉強しています)
4年生、5年生になると、ボリビアの地図や南米の地図、ボリビアの歴史年表が目立ちます。
それ以上の学年になると、前学期に作成した発表物を飾っている程度で、かなりすっきりしています。
ある日、1人の日本語科の先生が、「各教室に日本の地図を置くべきだ」とおっしゃいました。私の学校には日本からの見学者が多く、その度に「○○から来ました」と自己紹介してくれるのですが、地図がないので、生徒達が全く想像できていないからです。その先生の提案を聞いて、他の先生方も、必要かもね…と思った様子でした。
私は、自分が日本から来たので、自己紹介するイメージもあり、当初から教室に地図を貼っていました。また、地図をコピーして、生徒にも配っていました。授業の中では、新出漢字に地名の漢字があれば、「地図から探してごらん」と促したり、授業の最初の5分間で、都道府県名当てクイズをしたりしていました。そのクイズでは、タブレットを使い、その都道府県に関するなるべくたくさんの情報(写真)を見せます。食べ物や観光地、海があるかないか、暑そうなところか、寒そうなところか、雪が降っているかなどです。そうして、寒ければ、上(北)の方か日本海側、海があれば、海のある都道府県など考えてもらいました。
初めは、日本に親しみを持ってほしいと思い始めたことでしたが、やっているうちに、対象にした小学3年生の生徒達にとって予想以上によい効果がありました。まず、北半球と南半球は季節や寒暖が逆ということを学びました。自分達が住むボリビアとは対照的に、日本が位置する北半球では、地図上の上(北)が寒いということを覚えてくれました。そして、小学3年生は、日本語能力試験のN5を受験しましたが、対策授業の際に出て来た地名を地図で確認してくれていました。
サンフアンの子どもにとって、日本の地理は想像するのも困難だと思います。日本は、季節もはっきりしていれば、町もあり、田舎もあります。食べ物も、職業も、自然の在り方も、教科書やテレビで見るたびに多様で、混乱してしまうと思います。日本地図が身近になることで、そういった混乱が、少しずつ整理されていけばいいなと思いました。
今、日本語科の先生方の課題の一つに、どうやって日本の四季を感じ(理解)させるか、というのがあります。ボリビアは寒暖が極端で、四季による植物の変化も日本ほど多様ではないようです。そのため、生徒達が感じている四季と日本の四季を比較させにくいのです。
対策として、四季や、伝統行事が分かる映像を集めようと言っていますが、ちょうどよい映像を見つけるのも難しいなぁと悩んでいるところです…。