ボリビア日本人移住地サンフアン:教育フェア
先日、サンフアンに住んでいる住民の方向けに教育フェアを開催しました。
家庭での子どもとの過ごし方を考えてもらおう、ということで「親子で学ぼう」をテーマに設定し、食育や環境教育、ヘアアレンジや理科実験教室など9つのブースを配置しました。
当日は、日系人に限らずボリビア人にも来ていただき、多くの来場者に楽しんでもらうことができました。
私は、日本語のブースを担当しました。私の目的としては、このイベントを通して、サンフアンに住むボリビア人にもっと日本のことを知ってもらいたいなと思っていたので、ボリビア人向けに、名前を日本語の文字で書いてプレゼントするコーナーと射的で遊びながら、日本の挨拶を知ってもらうコーナーを用意しました。
日系の方向けには、知っているコロニア語を付箋に書いて貼ってもらう展示と、言語の自然習得についての展示をしました。どちらも、これをもとに対話することを狙いとしました。
まず、コロニア語についてですが、ご存知のようにコロニア(移住地)で作られ、話されている言葉のことです。スペイン語と日本語が混ざり合っているもの、それらのイメージが混ざりあっているものなどがあります。いくつか例をあげます。
『カンビアっこ』西語cambiar(交換する)+日本語の「交換っこ」が混ざりできた言葉。
『センブラ機』西語sembrar(まく) +「機械」→種まき機
『パト撃ち』西語pato(鳥)+撃つ(用例)パト撃ち行こう。
『セコセコ』西語seco(乾燥)を二回言って日本語の擬態語のような響きに。(用例)手がセコセコする
『現地人』ボリビア人のことを指すときの総称。ご年配の方が良く使われる。
コロニア語、とってもおもしろいですよね!急に言われても出てこないな~というお話もあり、これは引き続き私の自由研究として調査していきたいと思います!
お話している中で、20代前半の日系の方が、「どうしても名詞や動詞など一部がスペイン語になってしまう。目上の人には失礼だから気を付けなきゃいけないんだけど…」というお話は、とても興味深いことでした!また、サンフアンは九州出身の方が多いのでスペイン語の干渉というより、方言の影響と思われる動詞の用法があり、調べると本当におもしろいと思います。
次に、言語の自然習得に関しての展示ですが、この展示を考えるにあたり、藤田ラウンド先生には多くのアドバイスを頂きました。先生、ありがとうございました。
この展示では、言語の自然習得を入り口として、子どもが日本語を“勉強”と感じる前にどんなことができるだろう、ということに話が繋げられるように対話しました。(最終的には、外国人日本語学習者の多い間違いや、サンフアンの生徒での中でも間違いがよく見られる文型(授受表現、自・他動詞)などを紹介しました。)
お話ができた方は、みなさん日本語を「聞く→話す→読む→書く」の順で習得していました。そして、スペイン語も、必ず、「聞く」が一番初めに来ていました。「うちで働いているボリビア人の子どもと遊んでいたから、スペイン語は聞いて覚えたよ」など、遊び相手がスペイン語を話していたという方が多かったです。
しかし、「聞く」以降が分かれ道で、「遊び相手と会話するから、話せるようになった。」という方と、「なかなか話せなかった。学校に行き初めて、テストのために必死に書いて覚えた。」という方がいました。
ある方は、「高校へ行くために移住地を出て、ボリビア社会に慣れるまでスペイン語を話すのがずっとストレスだった。スペイン語はテストで点を取るためにしかたなく勉強していた。自然習得の順番と違ったから、こんなにストレスになったのかなぁ」とおっしゃっていました。似た環境の移住地でも、個人によってスペイン語の捉え方がこんなにも違うんだなと知り、私自身、大変勉強になりました。