ポルトヴェーリョという街 Porto Velho
ブラジルはロンドニア州、ポルトヴェーリョという街に滞在している。アマゾンの奥地。州境はボリビアに接する。初めて地図を見たとき、どんなジャングルの只中にあるのか、と想像をかき立てられたが、意外にもショッピングモールもあればマクドナルドもある、そんな至って現代的な都市なのだ。
この街はアマゾン川最大の支流、マデイラ川東岸に位置し、20世紀初頭よりゴムや錫、そして金の交易の中心として栄えた。川に沿って見られる歴史的な鉄道跡が、往時の面影をかろうじて残している。もう一つ街の象徴ともいえるのが、セントロ(中心部)に聳える巨大な三つの貯水タンク(Três Caixas d’Água)、通称「三人のマリア様(Três Marias)」だ。貯水タンク自体はもう使われていないが、タンク前の広場は市民にとって憩いの場となっている。
私はここで3ヵ月前から日本語教師として働いている。日本語教師といっても、日本語を教えるだけではなくて、書道や合気道を教えたり、逆に生徒たちからは太鼓や踊りを教わったり、それを街のいろいろなイベントで発表したり。いつか彼らに落語を教えることも目標の一つだ。要は、幅広く日本に関わるものを媒介とした何でも屋の趣き。生徒は日系より非日系のほうがはるかに多い。
多文化や共生、ともすれば堅苦しくなるこれらの言葉について、この街での仕事や日常生活で体験したことをもとに、気楽に考え、綴っていきたい。