日本の裏側の小さな町 La Colmena
日本から見て地球の反対側にあるここパラグアイには約7000人の日系人の方々が住んでいる。
私の住むラ・コルメナは、パラグアイで初めての日系移住地であり、今年で入植77年を迎えた。
現在は人口約5000人の内、200人ほどの日系人が暮らしている。
ここを移住地にする決め手のひとつは、景色が日本に似ているからだったと言われている。
緑豊かで日本の富士山に似ている山が見え、ここでは「コルメナ富士」と呼ばれている。
日系人の名前のついた公園や通りがあったり、町の旗にも日本の国旗のマークが入っていたりする。
これは日系人の貢献が高く評価されているからだと思う。
入植から77年がすぎた今もラ・コルメナにはまだ日本の文化も存在し、パラグアイと日本、双方の文化や習慣と触れることができる。
日系人の方のお宅におじゃますると、おにぎりにつけもの、それに大福まで出てきて、ここは日本なんじゃないかと錯覚するくらいである。
先日、同僚の先生のお宅に豆腐を作りに行った。
実は私の祖父母は豆腐屋を営んでいた。
私も小さいころからいつも店の手伝いをしていた。
もうあれから何年も時が過ぎたが、道具、におい、その場の雰囲気が昔を思い出させてくれた。
もちろんここには日本の道具はなかったそうだが、移住してきた方々が祖国の食べ物を食べたい、子どもたちに食べさせてやりたいという思いから、自分たちで道具を作り、あるものを代用しながら豆腐を作り出したそうだ。
同じようにして納豆やみそ、梅干しなども各家庭で受け継がれている。
日本にいたら当たり前にあるもの。
それを必死に守ろう、伝えようとする思い。
日本から遠く離れた小さな日系社会での生活は、日本に生まれ、何の疑問も持たず生きてきた私に「自分の国」そして「自分」とは何かを考えさせてくれる。