バンクーバーの言語景観・表示 Vancouver, linguistic landscape and its representation
バンクーバーは、多民族国家カナダの中でも一二を争うほど人種や言語、文化が入り乱れている都市である。私は、今年の九月からそのバンクーバー地域の大学に留学するというまたとないチャンスを頂いた。今回は、その多文化なバンクーバーについて、言語景観に絞ってレポートを行う。
バンクーバーの人口の詳細を見てみると、ヨーロッパ系52.5%、東・東南アジア系29.7%、南アジア系11.1%、ファーストネイション2.3%、中東系2.1%、アフリカ系1%、ラテン・中央・南アメリカ系1.3%(参照1)、と非常に様々な人種が混ざっている。この地に住んでみた実感として、特に、中華系が非常に多いという印象を受ける。
釣り禁止、という次のサインも4カ国語表示である。
以下は、中華系が大多数を占める、リッチモンドという地区の台湾系商店の募集広告である。英語・マンダリン(普通語:中国や台湾で規範とされている日本語の標準語のような言語)のバイリンガルであることは必須、それに加えて広東語もできれば利点である、という内容が書いてある。ドライバーになるためには、トリリンガルであることが利点になる状況は、想像もしなかった。
さらにこちらは、バンクーバーの様々なところにあるアジア系商店、「大統華」T&Tである。全てが英語標記であるメトロポリスというショッピングモールの地下にあるのだが、この商店の中に入ると、今どこにいるのかがわからなくなるほど、漢字標記の食品が溢れている。
また、メトロバンクーバーから少し足を伸ばしたコキットラムという都市も、韓国人街があり、標記は韓国語と英語である。
韓国系スーパーマーケット「ハナルム」
多文化標記はこのようなアジア系言語だけではない。カナダの公用語は英語とフランス語であるので、例えばコインランドリーを使用する際のカードも、英語とフランス語の二言語表示なのである。
(Insertの下にはInserzというフランス語表示があり、その他もバイリンガル標記である。)
最近のニュースでは、中華系が多数を占める地区・リッチモンドのコンドミニアムでの会議を、英語ではなくマンダリンで行ったため、人権問題として訴えられた事件があるほどである。(Richmond man files complaint over Mandarin-only strata meetings:
http://bc.ctvnews.ca/richmond-man-files-complaint-over-mandarin-only-strata-meetings-1.2711841)
(参照)http://www.metrovancouver.org/services/regional-planning/PlanningPublications/PopulationbyVisibleMinorityNHS2011.pdf