韓国調査こぼれ話(5)Anecdote out of research in Korea (5)
アンニョンハセヨ。
一年ぶりの韓国ですが、8回目となると夕焼けの山に向かって思わず「ただいま」と行ってしまいます。今回は、私が関わるもう一つの科研研究で、東京・ソウル・上海の3カ所での国際結婚カップルの子育て戦略のうち、ソウルでのインタビュー調査とこれまでの中間報告を兼ねての学会発表に来ました。
この調査は3都市に住む日本・韓国、日本・中国の、妻(日本人・韓国人・中国人)、夫(日本人・韓国人・中国人)にインタビューを行い、それぞれのカップルの、それぞれの居住地でのお子さんに対する教育戦略を伺い、その比較を最終的には行うという構想のもと始めました。研究者も、日本人(女性・男性)、韓国人(女性・男性)、中国人(女性)とマルティナショナルでマルティリンガルな集まりです。
韓国で国際結婚をし、お子さんを育てている一人のお母さんに2年前にインタビューをさせてもらい、そのご縁で日本語クラブとして家庭外の日本語環境を(手作りで)運営している、ソウル郊外の京畿道の一つの地域のグループについて知りました。その翌年、つまり去年の11月に子どもたちの日本語クラスを実際に見せてもらい、子どもがクラスに出ている間にお母さんたちとバイリンガルになるための子育てについて一緒に話し合う機会を持ちました。今年も、そのグループの国際結婚のお母さんたちとバイリンガル子育てについて話し合ってきました。
日々、「外国」である韓国で子育てをする。家の中で日本語をどれだけ、どのように使ったら、教えたらいいのか。試行錯誤をしながらの「日常生活」は迷いの多いと思います。そんなときに、ちょっと理論を知っている専門家、そして国際結婚当事者の「先輩」が日本から来て、考えを整理してあげるということだと思うのですが、1時間くらいの話し合いのあと、「去年も聞きましたが、また今年も話を聞きながら、頭をリセットできて、がんばれそうです」と一言声をかけてもらえると韓国での日本語(母語)のバイリンガル子育てにちょっとだけ貢献できたかと嬉しくなります。バイリンガルを育てるためには、長期的な親の努力が大きな要素となるだけに、海外で子育てに奮闘している、特に母親たちへの気持ちの支援が重要なのではないかと、言語教育以外の視点を今回はより実感する機会になりました。
完璧なバイリンガルを目指さなくとも、親や家族と話せる日本語が育つように、また、来年もお母さんたちや子どもたちの顔を見にいきたいですね。