国際基督教大学ジェンダー研究センター(2) Center for Gender Studies, International Christian University (2)
Mihoです。続きを書きます。
田中かず子先生がICUに着任されたのはちょうど1990年のこと。1990年代の半ばにはすでに「日常生活とジェンダー」という一般教養科目を教えておられました。クラスではジェンダーだけではなくセクシュアリティについても学ぶことができました。先生はクラスを受講したセクシュアルマイノリティの学生からカムアウトを受けたり、学生からの要望で「セクシュアリティを考える会」を開催するようになりました。
ある時、かず子先生が「頭が真っ白になった」という出来事が起きました。その「セクシュアリティを考える会」には、既にICUを卒業された方も参加されていました。その内の一人が先生にカムアウトし、大学時代はとても孤独だった、と仰ったのです。
かず子先生は、アメリカ在住時のオフィスメイトがレズビアンだったという経験から「私はセクシュアルマイノリティのことはわかってると思っていた」のだそうです。ところがICUで接していた学生さんが孤独に苦しんでいた間には何もしてあげられなかったということに、カムアウトを受けて気づくことになったのです。
授業でジェンダーやセクシュアリティについて教えていても、自分のことを誰にも言えず、誰ともつながれない学生がたくさんいることは、先生にとってとてもショックなことだったのです。
かず子先生は、そこから、各所のセクシュアルマイノリティ関連の団体や活動にアクセスし、勉強を重ねると同時に、学内には誰もが排除されず、ジェンダーやセクシュアリティについて関心のある人々が交流できる居場所を作りたいと考えるようになりました。
CGSがなぜ、研究のためだけのセンターではなく、誰もが排除されず、ジェンダーやセクシュアリティについて関心のある人々が交流できるコミュニケーションスペースとして作られたのか。その背景には、かず子先生のこの経験がありました。
<参考>
Shimada Akiraさん制作 「Youth talk性的マイノリティと教育05●田中和子さん02●学生が集えるコミュニケーション・スペースとして」