『ALWAYS』の夜 Film night “ALWAYS … ” in a Japanese class
先日夜の授業にて。たまには趣向を変えようと、映画を上映することにした。
持参したDVDコレクションの中から選んだのは、我ながらベタだけど2005年の大ヒット作『ALWAYS 三丁目の夕日』だ。
すでに観た方も多いと思うので詳細な内容は割愛するが、舞台は戦後間もない1958年東京。
「鈴木オート」の鈴木家、その向かいで駄菓子屋を営む茶川竜之介、そしてひょんなことから竜之介宅に引き取られることになった淳之介少年と、下町界隈の人々との交流を軸に物語は展開する。笑いあり涙ありで、まず映画として単純に楽しめる。また、後に東京のシンボルとなる東京タワーの建設を背景に、長嶋茂雄や力道山、テレビや冷蔵庫の登場、地方からの集団就職など、当時の世相・風俗もふんだんに取り込まれている。
個々のエピソードは、映画ゆえに多分に美化されすぎているきらいはある。
しかし、たとえそれらが現実にはありえない空想の産物だとしても、私の両親や祖父母の世代の多くの日本人が何となく集合的に思い浮かべるであろう「古き良き日本」としての郷愁的な日本のイメージ、というものを知るだけでも、生徒にとって我が日本語の授業を一回潰すだけの価値は充分にあったのではないか。上映後の反応も上々であった。(可能なら他の日本語学校でもぜひ。おすすめします。)
ここポルトヴェーリョに初めて日系移民が到着したのが1954年。この映画の舞台とほぼ同時期だ。
今やこの地に暮らす一世の方々は数少ないが、何人かの方々にお話を伺う限り、60年前の出国以来ほとんど日本には帰っていないという。彼ら・彼女らの目に、この映画に描かれた往時の日本の風景はどのように映るのか、機会を設けて聞いてみたい。
お風呂への郷愁 Homesickness to bathing in Japan – 多文化共生を再考する
2014/12/16 @ 3:08 PM
[…] 『ALWAYS 三丁目の夕日』を観れば、戦後間もない(ただし多分に美化された)東京を知ることができる、というのは以前の記事でお伝えしたとおり。 ドキュメンタリーはもちろん、時代劇でも学園ものでもヤクザものでも、どんなジャンルであっても日本の歴史や社会にかこつけて、話のタネは尽きないのがありがたいところです。 […]