“Do you guys have Halloween back home?”
アジア系の友人たちと、East Vancouverという人種的に混ざり合った地域で、ハロウィーンのパレードを見ていた時のことである。バンクーバーにきて二ヶ月ほどで、少し慣れてきた時期だった。
いきなり白人の男性が歩み寄ってきて、私たちの集団を見て、”You guys having a good time?”と話しかけてきた。その後放った一言が忘れられない。”Do you guys have Halloween back home?”
その質問は突拍子がなく、最初は何と言えばいいのかわからなかった。しかし、時間が経てば経つほど、少しずつその発言への違和感は増して行った。
Homeとは、どこのことだろう。なぜ、彼はこの質問を私たちにしたのだろう。
この発言の裏には、二つの思い込みがある。
まず第一に、アジア人は皆 “newcomers=not Canadian”という思い込みである。現在いるバンクーバーと、”Home”が対称されて質問されているのだ。実際は、その場所に居た友人はカナダで生まれカナダ国籍を持つ香港系や、アジアの国からカナダに移住して何年も経つ人が大半だった。彼らにとってHomeとは、まぎれも無くカナダである。
第二に、ハロウィーンはキリスト教を信仰する西洋特有のイベントであり、アジア人にとっては珍しいのだろうという思い込みである。実際、渋谷ではハロウィーンのゴミ問題があるなど、ハロウィーンはアジアでも、商業的な香りは強いにしろ祝われているのにも関わらずに、である。
しかし、この文脈では、Do you guys have Halloween back homeと、私たちが白人に質問しても意味は通らない。「当たり前だろう!何を言っているのだ」と言われるに違いない。この質問を聞かれて、違和感を感じえないのは人種的に他者化されている側である。
移民大国というカナダやアメリカでも、人種的マイノリティに対して、”Where are you REALLY from?”という質問も多い。その場所で生まれて育った2世、3世、4世である場合も往々にしてあるにも関わらず。参考) https://www.youtube.com/watch?v=DWynJkN5HbQ
日本にいるときは、私は人種的にはマジョリティであったために、このような違和感を身を以て感じる機会はあまりなかった。しかし、違和感を感じ続ける側の気持ちを一身に感じた時の不条理を目撃し、この一体どう取り組んで行けばいいのか、私はどこに立つのか、ということを今考え続けている。