旅の途中で考えた。 Pondering in the middle of my journey.
明けましておめでとうございます。
ブラジルの学校は、概ね12月と1月の2ヵ月間が夏休みとなります。
というわけで今回も昨年度に引き続き、年末年始を挟んだ約1ヵ月間、旅行に出掛けました。
内訳はブラジル国内約3週間、国外約2週間といったところ。
国外の行き先は、前回はアルゼンチンとチリだったので、今回はパラグアイとペルーにしました。
前回はブラジルに赴任して間がなく、ポルトガル語だけで精一杯だったのですが、
今回はある程度余裕も出てきたので、どうせ南米を旅行するならと、旅行の数ヵ月前からネットに転がっている無料教材を中心に、暇にあかしてぼちぼちとスペイン語の準備もしていたのです。
ポルトガル語とスペイン語という二つの言語を節操なく同時に齧ってみると、それはそれでいろいろと発見があるものです。
ともに俗ラテン語に起源をもつロマンス諸語であり、またポルトガルとスペインという地理的・歴史的・文化的な背景の近さから、両言語は多くの点で共通しています。
日本語でいえば標準語と関西弁の方言差程度しかない、という言説を目にしますが、実際に齧ってみると、両言語はその差異よりは大きいだろうなと感じます。
一方で、例えばコテコテの青森弁とコテコテの鹿児島弁の差異くらいの間には納まっているのではないか、という気もします。あくまで感覚的なものですが。
文法の骨格はほぼ共通。
語彙や綴りや発音や表現についていえば、全く違う部分もあれば、同じ部分もあります。
例えば。
「ありがとう」は、ポルトガル語ではObrigadoですがスペイン語ではGraciasとなります。
これはもう完全に異なる表現なので有無を言わずに両方覚えるしかありません。
(ただし、ポルトガル語にもGraciasと同語源のGraçaという言葉はあって、「恩恵」や「寵愛」といった意味になります。Graças a Deus【神様のおかげで】などと使う)
一方、数字の表現はほとんど同じなので、どちらか一方の言語を知っていればだいたい事足ります。
店やレストランで、容易に値段が聞き取れる、というだけでも随分と旅行の幅は広がるものです。
他に、これらの言語の語彙を覚えるときに厄介なのが、性の別と単複の別でしょう。
このうち、性(男性名詞・女性名詞)については規則的である程度共通しているのですが(ただし例外もあり)、単数・複数の区別は意外と奥深いのです。
時間を尋ねるときポルトガル語では‘Que horas são?’と複数形で聞くのに対して、
なぜかスペイン語では‘¿Qué hora es?’と単数形で聞くことになっています。
ところが「おはよう」の挨拶になると、ポルトガル語では‘Bom dia.’とシンプルに単数で言うのに対し、
今度はスペイン語のほうが‘Buenos días.’と複数で表現するのです!(「こんにちは」や「こんばんは」に関しても同様。)
決まり文句なので特に意味はない、と言ってしまえばそれまでなのですが、
似ているようで微妙に異なる両言語のこのような物事の捉え方の違いには、どのような背景やロジックが潜んでいるのでしょうか。
(というか、すでに言語学的に解答の出ている話であればすみません。誰かご教示ください。)
次回はボリビアとコロンビアとメキシコ周遊を睨みつつ、より一層のスペイン語会話を楽しみたいと思います。
エンカルナシオン(パラグアイ)
クスコ(ペルー)
マチュピチュ(ペルー)