2015年2月フィールドノーツ(1): 宮古フツの入ったマルティリンガルの塊 Fieldnotes(1): Multilingual construct with Miyakofutsu (Miyakoan language)
2月下旬の宮古島は2度目だが、先回の太陽の降り注ぐ天気と比べ、今回は、今のところ曇り空で時々の雨、むしむししている。体感温度は東京の6月位だ。学校や道路などの公共の通りには、日日草などが咲き誇り、道端にはハイビスカスやブーゲンビリアの鮮やかな彩どりの花々が美しい。
今回の滞在での「初めて」は、宮古島市の6つの島(宮古島、大神島、池間島、伊良部島、下地島、来間島)のうち、すでに島の間に橋がかかっている池間島、来間島に続いて、2015年の1月31日に宮古島と伊良部島へかかった伊良部大橋だろう。来週、3.5キロの橋を片道だけでも「歩いて」渡ってみようと思う。美しい海の上を歩くような感覚が味わえるだろうか。この橋によって、確実にまた宮古島が新たな一歩を踏み出すことを考えながら。
今日は、私のフィールド地をうろうろと歩いてみた。時間と心の余裕があるせいか、お店ののぼり旗やチラシに宮古フツ(宮古ことば、もしくは宮古語、英語ではMiyakoan)のことばが目に入ってくる。
「やぱーやぱサンド」が気になり、この洋菓子屋さんに立ち寄ってみると、柔らかいクッキーの2枚の間に生クリームとあんが入ったクリームサンド。「やぱーやぱ」は「やわらかい・ふわふわした」という意味だという。
広告の中の「だいばんフランスパン」には、だいばんの後ろに「特大」とカッコつきの意味がある。
たまたま見つけた宮古フツは、名詞を形容する語であったが、品物の名詞そのものは外来語であるのが偶然とはいえ、おもしろい。宮古ふつが「ひらがな」で、外来語が「カタカナ」ですみわけがされているからだ。
言語の表記は、音を記述するという点で難しいが、このような形で「宮古フツ」と「日本語の外来語」、つまり、日本語の外来語は「カタカナ表記」であるという当然のようなメタ知識も使われている。ここには、しかし結果として、外来語の「英語(sandwich)」や「ロマンス諸語(pan)」の記号が入り込んでいるとも解釈ができ、ユニークなマルティリンガルな「塊」となっている。
やぱーやぱsandwich=宮古フツ + (外来語)英語
だいばんFrench pan=宮古フツ + (外来語)英語 + (外来語)ロマンス諸語 (例えばイタリア語、スペイン語、フランス語など)
宮古フツと日本語のすみわけとして、ひらがなとカタカナで記述をしたのは生活の知恵であるかもしれないが、生活の中で生まれた意外な「多言語が交叉した」塊が生まれたといえるのかもしれない。
宮古島の現在のことばの使い方、このようなマルティリンガルな宮古フツにも注目してうろうろとフィールドワークをしてみよう。