IZAKAYA (居酒屋)
ここはブラジル、サンパウロ。
焼酎やウイスキーのボトルキープ、焼酎の銘柄の多さ、ロックグラスや冷酒グラス、照明や天井の様子を見ると、日本の飲み屋さんかとも感じられる。
それでもここは、ブラジル。IZAKAYAである。
サンパウロのリベルダージと呼ばれる東洋人街には多くの日本食レストランがあり、定食などを楽しむことができる。
日本食を求めてやって来るのは、私たち日本人の他、日系人は勿論、非日系人も大多数を占める。驚くことに、彼らのほとんどはお箸を使って食事する。
日本の食べ物だけではなく、食べ方までも受け入れられているようで嬉しくなる。
それから、もうひとつ。
日本食レストランにはなくて、居酒屋にあるもの。
同じ物を食べても値段が異なる理由。
それは居酒屋の雰囲気である。
人びとは、その雰囲気を求めてIZAKAYAへやってくる。
お洒落なレストランやバーにお金を払うのと同様、居酒屋の雰囲気にお金を払うのである。
カウンターの隣の席で、お箸でたこ焼きを食べながら話に熱中するカップルや、お座敷でおにぎりを頬張る家族。
どちらも非日系の人たちである。食べ物だけではなく、雰囲気を味わいに来ている人たち。
「居酒屋の雰囲気」という付加価値を感じて、またひとつ嬉しくなってしまった。