ディアスポリス ‘Diaspolis’
最近、はまっているマンガがある。
少し前の作品だけど、『ディアスポリス』(漫画/すぎむらしんいち、脚本/リチャード・ウー)というマンガだ。
様々な事情からパスポートや在留許可を持たない外国籍の人びとが所属・組織している異邦都庁が、東京都には存在する。
そこには日本人社会と同様に、商店も郵便局も病院もなんでもある。
なかでも主人公の久保塚が働く異邦都庁/ディアスポリスは、異邦民の生活の安全のために日本の社会とつねに交渉をおこない、
ときには戦いを繰り広げる……まぁ、だいたいこんな話だ。
暴力的なシーンもあるし、青年マンガだけあって男性的な目線から描かれているなと思うことは多いけれど、
それでもぼくはこのマンガが好きだ。
というのは、そこでの異邦都民の人びとの生活が、上手く言えないけれど、とても生き生きと、
愛着をもって描き出されているように思うからだ。
また、主な舞台は新宿の新大久保界隈で、ときどき実際にある風景やお店なんかが登場するのも、
住民の心をくすぐってくれる(もちろん、マンガの内容は完全にフィクションなので、くれぐれもお間違いなきよう)。
ところで、ディアスポリスは新大久保が舞台だけど、非常に多様な国・地域の人びとが登場する。
朝鮮半島、中国、台湾、インド、ロシア、タイ、ベトナム……挙げればきりがない。
そういう多様な人びとが一緒になってコミュニティを作っている姿を活写しているのがマンガを魅力的にしているのだけど、
作品を読んだ後、街を歩いてみて思うのは、実際の街にも『ディアスポリス』と同じくらいに多様さが広がっているだということだ。
街には、ぼくが知らない側面がたくさんある。歴史的な奥行きも。
この街は、どうやってできているのだろう。できてきたのだろう。
ちょっと、調べてみたくなってきたよ。