宮古島の2月:パイカジ(南風) South wind from Miyako Island
「パイカジ、南風、が吹くときは沖縄ではみな漁にでんのさ」という趣味で魚釣りをしているというおじい。
今日は日差しもきつく、気温も高い。地図を見ながら集落を歩き回っていると汗がでてくる。
どこにいても、海が見えるので、その美しい海の色に誘われて、一休みをしようと、前は漁村だったという小さな漁港に足をのばす。そこで、船の整備をしていたおじいにどうして、漁に行かないのかとつい声をかけてみた。
最近は「本土」と違って魚はたくさん取れなくなったが、もずくはたくさんとれること。ほら、あそこにもずくの工場があるよと、海辺に立っている新しい建物を指差す。
以前、漁師の村で栄えていたときと聞いたこの集落の産業を支えていた漁港は、昔はこのようなコンクリートではない漁港だったのだろうとはわかるものの、眼の前にあるコンクリートできれいに固められた漁港を見ると、昔の姿は想像はつかない。現実は、コンクリートできれいに舗装をされた道と港。でも、その中で変わらないのは、海と空だと思いたい。
今日はこの風で釣りもできないから、とお昼ご飯がまだの私を一番近いだろう食堂まで車で送ってくれるという。食堂に向かう途中、おじいは前はタクシーの運転手をしていて、よく本土の人をタクシーに乗せたさと話しながら、途中でミャーク(宮古島)の古いお墓に寄り道をして、「写真をいっぱいとりなさい」と待っていてくれた。
ここなら好きなものが食べられるさ、と車を止めるおじい。パイカジが吹くときはこのおじいのことを思い出しそうだ。さあ、何を食べようか。