不夜城のハロウィーン Halloween of the nightless entertainment district
職安通り沿いに、「ドン・キホーテ」がある。ペンギンのキャラクターや独特のテーマソング、全体的に黄色い装飾でおなじみの量販店、ドンキのことだ。
大久保界隈に越してきて、ぼくが一番利用しているお店は、たぶんこのドンキだと思う。
食品、日用品、衣服におもちゃ、家具に自転車、中古のブランド品にちょっとした工具まで……あらゆるものが揃っていて便利だし、見ていて飽きないからだ。
でもそれよりも、ここのドンキが面白いのは、商品の多様さに負けないくらいに様々な人が訪れることだ。
たとえば下の看板。
韓国語・中国語・日本語・英語で書かれていることから、これらの言葉の使い手をひとまず顧客としてお店が成り立っていることが分かる。
店のなかも同様に、複数の言葉で表記された商品や案内板が目立つ。
でも、この四つの言葉の使い手といっても、相当幅広い。
街との関わりだけで考えてみても、長く地域に住んでいる人もいれば、昼あるいは夜だけこの街で働いている人や、旅行で来たという人だっているだろう。
実際お菓子コーナーでは、人形焼き、生八つ橋、紅いもタルトなど日本各地の名産品が売られているから、お土産物の需要があるのだと思う。
それは逆に言えば、お店のほうも積極的に、多様な人/ニーズに応えようとしているということでもある。
多様な人が多様さに見合った空間を生み出す、 多様さの相乗作用。
大久保に根差している人、留まっている人、通り過ぎていく人。
ぼくも含めて、そんな多様な人々が、思い思いに買い物を楽しんだり、必要を満たしたりできる場所。
24時間光り輝く、不夜城みたいなお店だけど。
ひょっとするとこういうところから、前回書いたような、開かれた空気は生まれてきているのかもしれない。
ところで、上の写真を撮ったのは10月末のハロウィーンの時期なのだけど、ドンキの店内はグッズであふれていた。
店員さんも着ぐるみを着てるし、お客さんにも仮装やボディペイントした人が目立つ。スウェーデンから来たというパンクスのお兄さんも、仮装グッズを熱心に眺めていた。
面白いけど、ぼくには縁がないなぁ。そう思いつつ、ドンキから職安通りに出ると、そこにも仮装した人がチラホラ。
うーん、いつの間にハロウィーンはこんなに日本に定着したのだろう……。
乗り遅れたぼくを尻目に、不夜城のハロウィーンは華やかに進んでいく。